定例市会報告

○ 市民生活を守る視点はどこに？…公立幼稚園統廃合など「構造改革」路線を継続

市長選挙後はじめての市議会が９月29日から始まり、竹内市長が２期目の所信表明を行いました。主な内容と特徴を報告します。

●国の悪政から暮らしを守る姿勢示さず
竹内市長は人口減少時代に入るなか、より多くの人から選ばれるまちをめざすこと、中核市への移行、総合文化施設の建設、さらなる行政改革に取組むことを示しました。
また不安定な経済状況と雇用情勢の悪化は、国民生活の先行きに不安を与えている。こうしたなか、市民生活の安心・安全を守っていくためには、経済活動面での魅力を高めるとともに、広域道路網の整備など都市基盤の計画的な整備を進めると表明しました。
しかし、市民の不安はこれにとどまりません。消費税の増税、年金の引き下げ、新保育システムやＴＰＰの導入など、国の政治そのものが国民に大きな不安を与えています。
これに地方自治体の長としてどういった姿勢で臨むのか、こうしたことは一切述べられていません。
不安は将来にだけあるのではありません。
悠長な経済成長支援だけでなく高騰する国民健康保険料などによる生活費の圧迫をいかに軽減するのか、市民生活に責任をもつ自治体として雇用の拡大にどう取組むのか、地域経済を直接あたためる施策については具体的に触れていません。

●新行革大綱を策定し市役所改革を推進
市長は「東日本大震災の発生を契機に、自治体行政のあり方についても、原点に立ち返り、見つめなおす時期に来ている」と述べ、中止していた技能労務職員（清掃職員など）の採用を再開し、一般行政職と区別した新給与表を作成する考えを示しました。
しかし、全体的には新行革大綱とこれにもとづくプランを策定するとともに、事務事業の総点検による廃止や民間委託化、公の施設の見直しと指定管理制度の拡大、市立保育所の民営化と市立幼稚園の統廃合をすすめるとのべて、いままでどおりの構造改革路線を引き続き推進しようとしています。

●「自立した市民」の市政参加とは何か
行政力を高めるとともに、市民にも地域課題を解決できる力、市民力が求められる。市民力を高めるためには、自立した市民が積極的に市政に参加してもらうための仕組みづくりが必要だとし、平成24年度に「市民まちづくり基本条例」を制定するとしました。
市長の考える「自立した市民」とはどういう市民なのか、「自立していない市民」がいるとすれば市政参加を拒むのか、よくわかりません。
何より、こうした姿勢で市民参加の街を築き得るのか疑問です。
また、保育所民営化や幼稚園の統廃合も保護者の理解を求めるだけで合意を前提としておらず、「まちづくりの主役は市民」との言葉がむなしく響きます。

●かすむ「福祉のまち」
介護保険計画の改定にあたり施設整備は重要課題です。
しかし、計画に基づき増設すると当然のことをのべるにとどまりました。
子どもの医療費助成の対象を拡大することについては、入院時の対象を拡大するとのべたのみで、何歳まで拡大するかも触れていません。
これでは「多くの人から選ばれるまち」にはなり得ません。